バルチック艦隊技術将校,ポリトゥスキーの日記

11月11日

今日はたいへん暑苦しい日である。汗が,あたかも水を注ぐように流れる。今夜はただ一個の十字架だけを身につけ,一枚の木綿の布を被って寝る。このような息苦しい夜にもかかわらず,船の明り窓を閉めて寝なければならない。これは,戦時には無用な灯火は消すか,またはそれを覆わなければならないからである。
ここでさえ,こんなに息苦しいのであれば,赤道のあたりに達したなら,実に地獄のようになるであろう。
空気は非常に水蒸気を含んでいる。机の箱は湿ってうまく開かなくなった。金属のものはすぐ錆がでてしまう。
室内では,つねに襦袢一枚でボタンをはずしている。実験者の言葉によれば,人々はみな熱帯地方の発疹に罹り,非常に痒いとのことである。熱帯でこのような発疹に罹るのは,暑さのために始終皮膚を刺激されるためだという。この暑さと息苦しさは,風がないだけに一層耐え難い。戦闘艦では絶えず換気機が動いている。すべての人たちは,みな眠い表情である。

夜9時,明日の朝ダカールに入港するために,さらに速度を緩めて航行している。たぶんダカールには数日間碇泊することになろう。同港で,我が艦隊に莫大な石炭――約2,000トンを積み込まなければならない。甲板は石炭で埋め尽くされることになろう。

2005/11/11 in  | posted by gen

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