バルチック艦隊技術将校,ポリトゥスキーの日記

12月20日

書面を認めようとして机に向かったが,すぐに妨げられて書くことができなかった。機関に異常な音が出たとき,すなわちスクリューが急に一度に回転を始めた時に異様な感に打たれた。これは波によってスクリューの上の水高が減ったときにその回転に対する水の抵抗力が減ったことに起因する。スクリューが全部空中に出てしまうことさえある。
波は依然として巨大である。ずっと我が艦隊を追尾している汽船は,いまその影もみえなくなった。その汽船は,夜になればまたどこかに出没するに違いない。
風は吹き荒れ,巨大な波はさらに高くなった。しかし波は順風のために船尾から襲ってくる。山のような波濤が天空をかすめるように起き,上甲板の上に襲ってくる。船体はかなりゆれ始めた。夜に入ってもし風力がこれ以上強くなれば,烈風になるかもしれない。しかし順風であることは幾分かは助かる。スワロフは快速に航行している。ゆれは大きくないわけではないが,逆風に向かって進むときのような甚だしさはない。
私の私室も,他の多くの士官の私室も甲板は水浸しである。私たちはみな足を折り曲げて座っている。海水が士官私室に入るのは明り窓の密閉が悪いのと,水線上の舷の粗悪な接合部からの浸水である。
舷側を打つ怒濤の音響はあたかも大砲を発射したときのような音である。この天候は日本艦隊も我々を襲撃できないであろうと思うほどの光景である。もちろん日本人はその汽船から水雷を発射することができないわけではないであろうが,このような海の荒れ方ではその水雷が命中するかどうかは疑わしい。汽船から射撃するなどは,もとより思いもよらないことである。
スワロフアレキサンドルボロジノアリョールなどの諸艦には多くの不完全なところを発見した。スラワの建造に際してはこれらの欠点を直すべきである。

2005/12/20 in  | posted by gen

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