バルチック艦隊技術将校,ポリトゥスキーの日記

1月24日

気温は高く息苦しく,また湿気も多いためにどこも不潔でどうしようもない。退屈の度合いは,すでに耐えられないほどである。明日の運命もわからず戦地からの情報もないので,みな抑圧された状態で苦悶している。艦内では何も明るい話もなく,何もする気を起こさずに怠惰な毎日を過ごすのみである。このような生活がどうして人々に快感を与えようか。ここには実に意外なことばかりが起こっている。
ハンブルグと米国間の航路を往復している元ドイツ汽船のベンガリアが暗礁に衝突し,マダガスカル付近で沈没したという情報があった。この船は我が艦隊に石炭を供給するために来た1万8千トンの大型船である。この船は暗礁に触れた後,さらに進航して沈没したのだが,乗員は全員救助されたという,
昨日,ナヒモフに非常に悲しむべき事件が起きた。艦隊の諸艦中にパンを焼く釜を持っていない艦は,停泊中に他の艦または陸上からパンの供給を受ける。ナヒモフにはパン焼きができないにもかかわらず,その艦に供給しなかったために乗組員はみな乾パンだけを食べている。昨日,同艦の乗員が新鮮なパンを要求した。彼らはたちまち扇動されて朝の祈りの後もその場から離れず,反抗の態度を示して散会の命令に背いた。その結果,一部の乗員を他艦に移し,一部は銃殺するしかないという状況になった。これによって,この騒動を鎮圧することができたと思われたが,しかしそのためにその他の者の迷惑はどのぐらいだっただろう。
マライヤで捕縛されアレキサンドルの檻倉に拘留されていた水兵は病院船アリョールに移された。檻倉の炎熱のために発病したからである。

2006/01/24 in  | posted by gen

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