バルチック艦隊技術将校,ポリトゥスキーの日記

3月16日

今日はたいへん忙しかった。今朝,私は自分の手紙を出し,また他人の分の依頼を受けた手紙を出そうと思って上陸した。郵便局の前は人だかりであった。すべての人々はみな11時までに,つまり11時から午後2時までの郵便受付事務の休憩時間前に差し出そうと焦っていたのである。
ところが正午に抜錨用意の信号命令が発せられ,多くの人たちはせっかく書いた手紙や小包その他書留を出せなかった。その書留郵便を普通の手紙のように直に投函したために郵便箱はたちまち一杯になってしまった。
普通郵便にすると,時に遅着することがある。私は知らずにいたが,私とし一緒にいた士官は私の書留郵便を私の手から取って,これを郵便箱に入れてしまった。私はこのとき,他人から依頼された郵便に切手を貼っていたのである。
私はおおいに驚き,何の考えもなく郵便局の窓から事務室内に入った。それから土地の人に頼んで箱の中から郵便物を皆出させて私の手紙を探し出し,それを事務員に渡して書留として出すよう頼んだ。その受取書を受け取るとすぐにスワロフへの帰艦を急がねばならなかった。

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郵便局の事務員には,私は多少名を知られた。理由の一つはたびたび郵便のことで彼等に接していたことと,私が彼等にメダル及び勲章贈与のことを約束したからである。外国人はこれらの装飾を非常に喜ぶ。私はすでにその手続をしたので,彼等はメダルと勲章とを受け取るであろう。
郵便局で,私に「貴君の出航は今日,あるいは明日かいつになるのか。貴君は直ちにロシアに帰還するのか」と尋ねられた。私は11時に本艦に戻った。埠頭ならびに桟橋の混雑は大変なものであった。貨物・食料品等を山のように積んでその辺にも散乱し,牛車は続々と貨物を曳いてくる。人夫はそれを脚艇に積み込もうと忙しく立ち働いている。
まず私は陸上の仕事を片付けた。食事も終えたので,これからは私にとっては気軽な舞台である。あなたには許してほしい。いま私は筆を措いて,後は明日にしようと思う。私は非常に疲れていて,ほとんど座ることもできず,昨夜は熟睡できず,今日はまた終日目がくらむほど奔走した。いま従卒さえもが「上官殿,寝て休息されてはいかがです? 停泊中は始終睡眠時間も少なく,ずっと働いておられましたから」と言った。まさにそのとおりである。仕事は多忙を極めた。もし今後幸いにして艦船に何事もなければ休息したい。しかし航海中に艦船に破損でも生じたなら,洋中で他艦に移乗せざるを得ない場合もあり得る。

2006/03/16 in  | posted by gen

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