バルチック艦隊技術将校,ポリトゥスキーの日記

3月20日

朝,我が艦隊の航路はジェゴハルシー島の近くのチアゴス島の方向を指した。英領チアゴス群島の付近には日本の艦船がいるとの噂がある。この噂は事実だろう。これら諸島の付近であるいは衝突があるかもしれない。チアゴス群島は人煙希少なたくさんの小島から構成されている。この群島と大陸の間には海底電線もない。
スワロフにクリムメルという機関士がいる。たいへん正直な人であるが,あるとき私は彼と話をし,もし我々の一人が死んだ場合に遺書を交換しておこうという約束をした。今日,彼は封書を私に渡したが,そこには「私が死んだ場合にはこの封書を宛名の者に送致し,また遺物も宛名の者に送ってくれることを願う。1905年3月6日 クリムメル記す。戦闘艦クニャーズ・スワロフにおいて」と上書きされていた。
私はまだ自分の遺書の支度をしていない。それに何を書くべきだろうか。私はあなたに対してひとつも秘密などなく,あなたは万事を知っている。私が最後のときに私が言おうとすることも,あなたはあらかじめすべてわかっているのだ。

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我が艦隊がいま進行している航路は諸艦の通行がはなはだ稀な航路である。この航路は世界開闢以来,戦闘艦,小巡洋艦,駆逐艦等少しでも我が艦隊に類似した船舶は通行したことがない航路である。我が艦隊は戦闘艦,小巡洋艦,駆逐艦,運送船,工作船,病院船,給水船,曳船,汽船などからなっており,いかなる艦船も我が艦隊に加わらないものはない。
全艦隊は再び停止した。一隻の駆逐艦が曳き綱を切ったのだ。艦隊は徐行した。出航後,今日の正午までにわずかに675マイル,すなわち1180露里を航行したに過ぎないが,スンダ海峡に到着するには約7千露里を航行しなければならない。
明日は朝4時から我が艦隊に随伴している運送船からすべての軍艦に石炭の積み込みをする予定である。

2006/03/20 in  | posted by gen

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