バルチック艦隊技術将校,ポリトゥスキーの日記

3月22日朝8時

昨夜ドミトリー・ドンスコイが3隻の船の灯火を認めたが,その船は探海灯で互いに信号通信を行い,我が艦隊と同一航路を進行していると報告してきた。
オスラービアでまた一人の水兵が死亡したので,その水葬が行われる。この水兵は3日前に死亡したが石炭積み込みの騒ぎで葬式を遅らせたのである。オスラービアではしばしば死亡者が出ているが,多くは艦隊が航海中のときに不幸に見舞われている。
提督はずいぶん前から神経衰弱に罹っておられるが,このごろはとくにひどくなった。提督は睡眠も少なく,かつ怒りやすくなられていて,些細なことにも非常に激怒されることがたびたびある,もっとひどくならなければよいのだが。

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夜11時,艦隊は虫が這うようにゆっくり航行している。今日までの航程は1000マイルである。もし同一航路をとって進めば,碇泊地までまだ2800マイルの航程で,他の航路をとれば2500マイルの航路である。もし途中で何事にも遭遇しなかったとしても,まだ15~20日間,大洋の中を漂うことになる。
わずかに進むごとに破損停船が続いている。今夜もシソイにおいて舵機を損傷し,その後また機関を破損した。駆逐艦の曳き船綱は紐のように切断されることもしばしばである。ブイストルイは大砲を備えているブリッジを破損した。
士官集会室では,なぜか艦隊はなお4400マイルを34日間かけて航行するといううわさがでていた。
食料はすでに尽きて,これからは塩漬けのものを食べなければならない。士官の中でだれがいちばん最初に食べられてしまうか,といった冗談を言う者がいた。
明日は石炭の積み込みがあるという。もし波が今日のように高ければ積み込みは難しい。そうなればまたも一日を空費することになる。石炭積み込みは現在は非常に重要ではあるが,まったくいやなことである。甲板の上は悉く石炭に満たされ,大砲の一部までもが石炭の中に埋まってしまうほどである。

2006/03/22 in  | posted by gen

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