バルチック艦隊技術将校,ポリトゥスキーの日記

4月11日

いま南シナ海にいる。サイゴンに赴いた病院船アリョールに託してあなたへの手紙と電報を発した。アリョールはもし途中で日本の襲撃に遭わなければ明日の朝にはサイゴンに到着するだろう。途中で攻撃されるようなことがあれば,この船は日本の傷病兵を搭乗させられ,日本人の命令に従わざるを得ないことになる。この船は赤十字を掲げているので沈没されるようなことはない。ひとりスワロフだけは通信を発することができたが,他の諸艦では今日アリョールがサイゴンに行くことは知らない者もいた。サイゴン出張を命じられたスワロフの士官がアリョールに移乗した際に,アレキサンドルから一人の病気に罹った士官も一緒にアリョールに乗った。この士官は自ら汽船に乗ることができなかったので,安楽椅子に寄りかからせてそのまま船に乗せた。

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提督の食卓用としてアリョールから少量のコーヒーを得た。アリョールは艦隊を離れてサイゴンに出発した。この船は2日後に艦隊に戻る予定である。今日は寝過ごしてようやく9時に起きた。今日は石炭積み込みはない。明日はたぶん停船のためにカムランには入れないだろう。
いまは非常に警戒すべきときである。いろいろな汽船に出会ったが,とくに英国旗を掲げた汽船が多い。オレーグはいつも船に近づいて尋問している(すなわち戦時禁制品の搭載の有無などを確認しているのである)。今朝前後して2隻の英国巡洋艦に遭った。そのうちの1隻は礼砲を発したので,スワロフからも答礼を行った。夜明けのことである。私はベッドの中で大砲の音を聞き,「はじまった」と思った。ちょっと明かり窓から覗いてからまた寝た。
我が信号兵が最初の英国巡洋艦を見たとき,彼らはこれをジアナが我々と合流するために来たと勘違いした。この巡洋艦は一見すると少しジアナに似ているのである。英国の巡洋艦は我が艦隊を調べているため日本を助けることになる。
7条の煤煙を見たが,すぐに地平線に隠れて見えなくなった。もちろんこれは7隻の船であろう。我が巡洋艦の偵察艦隊の一部は英国旗を掲げた汽船に遭ったが,この船は信号を掲げて「日本の駆逐艦を目撃した。警戒すべし。かつ今夜襲撃がある」と報告してきた。そうだ。敵は近づいた。敵艦との衝突はなぜこうも引き伸ばされているのだろう。今夜は果たしてどうなるのだろうか。
私は手紙と電報をだすことができ,非常に満足である。ただし,あなたの返信が得られるとは思っていない。
アリョールはそんなに長くサイゴンにとどまってはいないだろう。あなたはさいきんの手紙を我々がウラジオに到着するころ,あるいは△△△△ごろに,すなわち5月初旬か中旬に入手することになると思う。

2006/04/11 in  | posted by gen

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