バルチック艦隊技術将校,ポリトゥスキーの日記

4月12日

今朝早くから石炭の積み込みを行ったので停船している。もし航行を続けるならば12時間でカムラン湾に到着することができる。しかし今日の状況ではカムラン湾には明日の到着となろう。
各艦船の互いの間には通信はない。
アレキサンドルに非常な侮辱事件があった。アレキサンドルの積み込み石炭は約900トンだということだったが,実際には350トンしかなかったことが判明したのである。
日本艦隊はどこにいるのだろう。もしかしたら我々はカムラン湾で日本艦隊に遭遇するのではあるまいか。
すべてのことが終局に向けて近づいている。巻きタバコもマッチも,そろそろ尽きようとしている。今日は石鹸の小さな塊を得た。石鹸は僅かしか残っていなかったのだ。石炭積み込みは終わり,艦隊は前進を始めた。

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私はスワロフから他の艦への出張はしていない。今日は何度か艦隊のそばを商船が通過するのに出会った。
明朝カムラン湾に到着の予定だ。ここに投錨するのは遅くなるだろう。我が艦船が通る水路をいちいちその深度を測定し,かつ掃海しながら航行していくからである。カムラン湾の測量は,海図の上に明示されている内容には信用できない部分もある。また日本人が水路に水雷を沈設しているかもしれないという危険もあるので掃海は行わざるを得ない。したがってこれらは無用な注意ではない。
カムラン湾は2箇所の湾口を持っている。一方の湾口にはこの湾口から日本軍艦が我が艦船への攻撃を防御するため臨時に防材が設けられることになっている。夜10時に見る。
今日はまた水兵の水葬が執行された。それがまたオスラービアの水兵だとは驚かされる。オスラービアには実に多くの死者が出ている。
カムラン湾の測量海図ははなはだ不正確であることを知った。某士官はこの湾内でどの船かに乗って座礁したことがあることを参謀部に報告した。船の座礁した場所の水路は広く表示されているが,実際にはそんなに広くはない。明日までに測量と掃海を終わる予定だ。
艦船は時間を無駄に消費しないために石炭の積み込みをする。艦隊のそばに様々な鳥が飛んでいる。スワロフの近くに翼が疲れた青鷺と斑鳩が落ちた。青鷺は海に沈んだが斑鳩は石炭の積み込みのカッターに拾い上げられた。

いまは月光が海上を照らしているが,1時間半後には月が落ちて暗夜になる。もし日本人が夜襲のためにこの機会を利用しなければ,我々は朝にはカムラン附近に到着することができる。

水雷夜襲の虞があるにもかかわらず,私はふだんのように少しも変わりなく,かつ眠ることができ,自分でも満足である。とにかく無用の疲労を感じていない。ああ私は大喜びで眠るかもしれない。実際のことを言えば,私は開戦後まったく生活の常軌を逸してしまった。開戦後ははじめは造船の夜業のためにたいていは自宅におらず,後には船でクロンシュタットに出張し,ついでレーウェリ,リバウに赴いて海外に出張した。14ヶ月の間このように一種の漂泊のような不規則な生活を送っているのだ。

2006/04/12 in  | posted by gen

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