バルチック艦隊技術将校,ポリトゥスキーの日記

5月7日

湾の近くで何かの火光かが終始閃いているのが見えたが,哨艦任務にある巡洋艦は何事なのかがわからないという報告をしてきた。我々はこれらの諸艦を信頼すべきだろうか。これらの諸艦の中の一艦長は自艦の武装を解く希望をあえて隠そうともせず,この武装を解く想像さえもしているとのことである。
旗艦の耳目となって働くべき哨艦が当然になすべき行動をまったくしない。その一例を示すと,この哨艦は陸岸から3マイルの地点にあるべきことを命じられているのに30マイルも沖に出ていた。この哨艦の艦長にとって我々の艦隊の進航は何らかの仇敵視すべき行動のように感じられるのだろう。彼らはなぜか今度の戦争のときに4隻の新戦闘艦(長村注:クニャージ・スワロフ,インペラトール・アレキサンドル三世,ホロジノ,アリョール)の中からアレキサンドル三世は滅亡するということを信じている。

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遂にネボガトフの報告に接した。今日,郵便局の所在地のナトランに赴いた。駆逐艦は第三艦隊が5日の朝4時にシンガポール沖を通過したとの電報を持ってきた。第三艦隊は10日には我が艦隊に合流するだろう。この艦隊はすべて無事であるとのことだ。しかしこの艦隊はほとんど1週間の間どこに漂白していたのであろう。ビーナンからシンガポールまでは3日の航程に過ぎないのである。いずれにしてもまもなく艦隊はここに到着する。私が先に21日という日は我が艦隊の運命にとって非常に因縁のある日だと思っていることをあなたに述べたかどうかは覚えていないが,もしかすると私が予想した21日ということが的中するかもしれない。
我々に対して同情を示しているフランス海軍提督ジャンキェルは我が提督に旅順のこととステッセルのことを詩に託して送ってきた。
第三艦隊はどのような状態でここに到着するのだろうか。この艦隊はどんな新聞を我々に齎すであろうか。多くの郵便物を搭載しているだろうか。何日発の郵便だろうか。この艦隊からタバコ類をたくさん得られるだろうか。
この艦隊は我々よりほとんど4ヶ月も遅れてロシアを出航した。この艦隊が出航したころには我々はノシベにいたのである。
満州からの情報はまったくない。満州では何をしているのであろうか。
フランス提督ジャンキェルは巡洋艦ギシアンに座乗して我が艦隊にホンコーヘを撤退すべきことを交渉するために来航した。たぶん明後日には数日前にあらかじめローランドに偵察させた湾に行くことになるだろう。
ギシアンはすでに出航した。この艦には感冒を患っている者が非常に多い。このために誰に対しても楽隊は音楽を奏せず,種々の会談のために午餐はかなり遅くなった。
明日早朝にジェムチウグイズムールドドネブルおよびリオンの諸艦は第三艦隊を迎えるために出航する。
補助巡洋艦の艦長の一人はフランス軍艦が接近してくることを報告し,かつこの艦長は愚かにもフランス軍艦を臨検することを命じられることはないかどうかを聞いてきた。物好きにもほどがある。彼は軍艦を臨検してどうしようとするのか。しかしこれに類する滑稽なことがたいへん多いことを知っておくべきだ。このような乱暴に少しも注意しないことがたびたびあるのである。

2006/05/07 in ポリトゥスキーの日記 | posted by gen

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